「皆既日食」
この世紀の天文ショーの代表格であるビッグイベントに立ち会えるのは、多くても人生に数回であろう。
私の人生の中で、死ぬまで忘れない自然現象のシーンは、数回のオーロラ爆発と、ヘールボップなどの大彗星の到来、それに十勝で体験した「しし座流星群による流星嵐」である。
いずれもその時の光景や気持ちまではっきり覚えている。
脳裏に焼き付くとは、まさにこのことである。
2009年7月21日早朝、この夜も寝る時間がなかった・・・
私はどこかへ出発する前は、決まって徹夜する。
先週、東京や仙台で打ち合わせやイベントを開催、一瞬、札幌に戻ってきて、たまってしまった仕事を片づけようとするが、到底間に合わず、日食の撮影と一週間の九州滞在の準備を一気に済ませ、自宅がある札幌から千歳空港に向かった。
JTB北海道企画、写真家・中垣哲也と行く「屋久島沖 皆既日食観測ツアー3日間」のスタートの千歳空港は泣き出しそうな空だった。
羽田空港を経由して、雨の熊本空港に到着。
この日の日本列島は、ほぼ全域で雲に覆われていたよう。
早朝、札幌を出発した時は気温20度以下、ひんやりしていた。
が、ここ九州の蒸し暑さを体験すると、日本は狭いようで意外と広いことに気がつく。
高速道路で鹿児島へ向かうが、パーキングエリアに停っていたトラックの荷台から何やらブヒブヒと聞こえるではないか。

そうか、九州は黒豚の産地なのだ。
皆、見事にプリプリのボディーをしている。
かわいい君の顔を見てしまったから、もうどんなにおいしそうな豚カツも食べられないなあ・・・
鹿児島サンロイヤルホテルに到着するが、早速海へ向かう。
もちろん、海水浴ではない。
明日乗る「フェリー屋久島2」に乗り込み、鹿児島港沖でナイトクルーズを楽しむ。

暖かい洋上で桜島や鹿児島の夜景をながめながら、豪華料理と生ビール。
北国の人間にとってはなかなか気持ちのいい贅沢な時間である。

はたして、明日も花火が上がるだろうか・・・
☆ ☆ ☆ ☆
7月22日、ついにその日が来た。
といっても、まだ真っ暗いうちから無理やり起きて、荷造りを済ませ、ホテルを出発。
土砂降りの中、鹿児島港に到着、そして再び「フェリー屋久島2」に乗り込む。
湿度100%くらいあるのではないだろうか?
早くも絶望的な気分。
その後、雨は止むが、晴れる気配は全くなし。

鹿児島湾内ではそうでもなかったが、外洋に出た頃から船が揺れ出した。
船内では皆じっと寝ている。
もはや日食の期待よりも、この揺れと湿度と天候の悪さに寝ていたほうがマシといった感じか。

流石に日食が始まる時間になると、甲板がにぎやかになってきた。

望遠レンズがずらりと並ぶ。お願いだから晴れてくれ!


札幌チーム撮影隊も準備万端。

食が進んでいるのだろう。かなり暗くなってきた。
太陽はどこだろう?

屋久島が見えてきた。
残念ながら、このフェリーは上陸できない。
時折、分厚い雲の隙間から、欠けていく太陽が見える。
確実に皆既に向かってカウントダウンが進んでいるのだ。


360度見渡しても雲の切れ間はない。
低い雲に加えて、上層雲がべったりで、こうなると短時間に晴れるのは不可能である。

いよいよ暗くなり、皆既が直前に迫っていることを物語っている。

分厚い雲に、さらに鉛のような雲が近づく。
絶望的と思うが、わずかながら太陽の光が見えた!
皆既になる寸前である。

思ってもいなかったことが起きた。
なんと、あたりがすっと暗くなる瞬間、黒い太陽の全貌が現れた!
明らかにピンク色のプロミネンスが肉眼でも見えている。
船上では絶叫とも言える歓声が上がり、全員が一点に集中している。
皆既中、それは1分程度か、2分程度か・・・
海上のうねりで動く太陽をファインダーに必死に捕らえるが、
時間の感覚を失い、夢中でシャッターを切る。


そして太陽と月がダイヤモンドリングという究極の自然美を一瞬見せてくれた。
それは数秒の出来事。
皆既になってから、ダイヤモンドリングに至までの一部終始を目の当たりにしたものは皆、無条件に泣いている。
通り過ぎる一瞬の輝きは、その人の心にずっと輝き続けることだろう。

体験したことの重大さに、みな撮影に必死である。

少し落ち着いてから、どっとあふれ出す感動をみんなで分かち合う。
これほどの感動を、人生の中で何度経験できるだろうか。
帰りは多目的室でオーロラのスライドショーも行う。
日食の次はオーロラなのだ!
鹿児島に近づくにつれて、それまでの悪天がうそのように晴れてきた。
皆の気持ちが空に映し出されたのだろう。

そして桜島の祝砲もお出迎え!
奇跡を導いてくれた折田汽船(株)フェリー屋久島の船長。
長年の経験から、天候の悪い屋久島沖(1年に370日雨が降るとか・・)でも良いところを探してくれていたのだ!
500人の期待を背負っての航行は荷が重かったと思われる。

下船後、船長に奇跡のお礼を。
みな笑顔が止まらない。

JTB北海道企画屋久島沖皆既日食ツアーは感動爆発の旅であった。
その夜、霧島温泉へ、高原のすがすがしさと名泉が、参加者の気持ちを益々リッチにしてくれた。
ドラマティックな奇跡を体験できたこと、関わってくれたすべてのひとに感謝します。
協力:シグマ株式会社
☆AURORA DANCE ONLINE SHOPにて「皆既日食」のフォトプリント販売中です☆

この世紀の天文ショーの代表格であるビッグイベントに立ち会えるのは、多くても人生に数回であろう。
私の人生の中で、死ぬまで忘れない自然現象のシーンは、数回のオーロラ爆発と、ヘールボップなどの大彗星の到来、それに十勝で体験した「しし座流星群による流星嵐」である。
いずれもその時の光景や気持ちまではっきり覚えている。
脳裏に焼き付くとは、まさにこのことである。
2009年7月21日早朝、この夜も寝る時間がなかった・・・
私はどこかへ出発する前は、決まって徹夜する。
先週、東京や仙台で打ち合わせやイベントを開催、一瞬、札幌に戻ってきて、たまってしまった仕事を片づけようとするが、到底間に合わず、日食の撮影と一週間の九州滞在の準備を一気に済ませ、自宅がある札幌から千歳空港に向かった。
JTB北海道企画、写真家・中垣哲也と行く「屋久島沖 皆既日食観測ツアー3日間」のスタートの千歳空港は泣き出しそうな空だった。
羽田空港を経由して、雨の熊本空港に到着。
この日の日本列島は、ほぼ全域で雲に覆われていたよう。
早朝、札幌を出発した時は気温20度以下、ひんやりしていた。
が、ここ九州の蒸し暑さを体験すると、日本は狭いようで意外と広いことに気がつく。
高速道路で鹿児島へ向かうが、パーキングエリアに停っていたトラックの荷台から何やらブヒブヒと聞こえるではないか。

そうか、九州は黒豚の産地なのだ。
皆、見事にプリプリのボディーをしている。

かわいい君の顔を見てしまったから、もうどんなにおいしそうな豚カツも食べられないなあ・・・
鹿児島サンロイヤルホテルに到着するが、早速海へ向かう。
もちろん、海水浴ではない。
明日乗る「フェリー屋久島2」に乗り込み、鹿児島港沖でナイトクルーズを楽しむ。

暖かい洋上で桜島や鹿児島の夜景をながめながら、豪華料理と生ビール。
北国の人間にとってはなかなか気持ちのいい贅沢な時間である。

はたして、明日も花火が上がるだろうか・・・
☆ ☆ ☆ ☆
7月22日、ついにその日が来た。
といっても、まだ真っ暗いうちから無理やり起きて、荷造りを済ませ、ホテルを出発。
土砂降りの中、鹿児島港に到着、そして再び「フェリー屋久島2」に乗り込む。
湿度100%くらいあるのではないだろうか?
早くも絶望的な気分。
その後、雨は止むが、晴れる気配は全くなし。

鹿児島湾内ではそうでもなかったが、外洋に出た頃から船が揺れ出した。
船内では皆じっと寝ている。
もはや日食の期待よりも、この揺れと湿度と天候の悪さに寝ていたほうがマシといった感じか。

流石に日食が始まる時間になると、甲板がにぎやかになってきた。

望遠レンズがずらりと並ぶ。お願いだから晴れてくれ!


札幌チーム撮影隊も準備万端。

食が進んでいるのだろう。かなり暗くなってきた。
太陽はどこだろう?

屋久島が見えてきた。
残念ながら、このフェリーは上陸できない。
時折、分厚い雲の隙間から、欠けていく太陽が見える。
確実に皆既に向かってカウントダウンが進んでいるのだ。


360度見渡しても雲の切れ間はない。
低い雲に加えて、上層雲がべったりで、こうなると短時間に晴れるのは不可能である。

いよいよ暗くなり、皆既が直前に迫っていることを物語っている。

分厚い雲に、さらに鉛のような雲が近づく。
絶望的と思うが、わずかながら太陽の光が見えた!
皆既になる寸前である。

思ってもいなかったことが起きた。
なんと、あたりがすっと暗くなる瞬間、黒い太陽の全貌が現れた!
明らかにピンク色のプロミネンスが肉眼でも見えている。
船上では絶叫とも言える歓声が上がり、全員が一点に集中している。
皆既中、それは1分程度か、2分程度か・・・
海上のうねりで動く太陽をファインダーに必死に捕らえるが、
時間の感覚を失い、夢中でシャッターを切る。


そして太陽と月がダイヤモンドリングという究極の自然美を一瞬見せてくれた。
それは数秒の出来事。
皆既になってから、ダイヤモンドリングに至までの一部終始を目の当たりにしたものは皆、無条件に泣いている。
通り過ぎる一瞬の輝きは、その人の心にずっと輝き続けることだろう。

体験したことの重大さに、みな撮影に必死である。

少し落ち着いてから、どっとあふれ出す感動をみんなで分かち合う。
これほどの感動を、人生の中で何度経験できるだろうか。
帰りは多目的室でオーロラのスライドショーも行う。
日食の次はオーロラなのだ!
鹿児島に近づくにつれて、それまでの悪天がうそのように晴れてきた。
皆の気持ちが空に映し出されたのだろう。

そして桜島の祝砲もお出迎え!

奇跡を導いてくれた折田汽船(株)フェリー屋久島の船長。
長年の経験から、天候の悪い屋久島沖(1年に370日雨が降るとか・・)でも良いところを探してくれていたのだ!
500人の期待を背負っての航行は荷が重かったと思われる。

下船後、船長に奇跡のお礼を。
みな笑顔が止まらない。

JTB北海道企画屋久島沖皆既日食ツアーは感動爆発の旅であった。
その夜、霧島温泉へ、高原のすがすがしさと名泉が、参加者の気持ちを益々リッチにしてくれた。
ドラマティックな奇跡を体験できたこと、関わってくれたすべてのひとに感謝します。
協力:シグマ株式会社
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COMMENT (9)
投稿者:Tomo 2009.07.27
中垣さん、奇跡がおきておめでとうございます!折角屋久島に行かれてるのに、
テレビの放送では雨が降っていたので、お気の毒と思っていました。
私はテレビで硫黄島とその沖合いの船からのライブに釘付けでした。
すばらしい天体ショーを今度中垣さんの写真で見せて頂くのを楽しみにしていますね。
投稿者:sue 2009.07.27
中垣さん、素晴らしい作品をありがとうございます。
あのような悪天候の中で、撮影できたということは、日ごろの行いがかなりよろしいからなんですね。
今度、イベントにも出かけたいと思います。
ありがとうございます。
投稿者:グリーンティー 2009.07.28
こんばんは、先日は皆既日食では大変お世話になりました。
私、JTBツアーでお世話になったのものです。
このアップされた写真を見ていると、船でみんなで過ごした事が思い出されます。
ダイアモンドリングや日食の瞬間の写真も素晴らしく、私は中垣さんの写真を購入したのでおうちに届くのをすごく楽しみにしています。
昨日中垣さん宛てにメールを送らせていただきました。
中垣さんのお声かけで下船後にみんなの集合写真を撮っていただき本当にありがとうござました。
今度の池袋のオーロラ展にも遊びに行かせていただきたいと思っています。
この度はありがとうございました!!
投稿者:ハッチです 2009.07.28
初コメントです。
今日のイベント、毎回の事ですが・・・オーロラスライドショーには感動です☆
もちろんオーロラの迫力ある写真に感動は当然ですが、
中垣さんの果てしなく広大なパワーとエネルギーにも、癒されて日々の色んな事を
ふっ切る不思議なパワーを感じます。
益々のご活躍を応援させてください♪
ありがとうございます。感謝☆
投稿者:NU 2009.08.01
こんにちは。
日食ツアーに参加していた者です。
あの胸が震える感動の瞬間を、こうして素晴らしい写真として残してくださったことに、心からの感謝をささげます。ありがとうございます!
投稿者:SDK 2009.08.05
奇跡の日食体験記、感動しました!!
ツアーを企画した皆さん、参加された皆さんの興奮が伝わってくるようでした。
最後の集合写真の満足そうな笑顔が素晴らしいですね。
こんな体験こそが人の心を豊かにしてくれるんですよね。
私も生きている間に是非一度は皆既体験、
そしてオーロラ爆発体験してみたいです!
投稿者:oika 2009.08.06
中垣さん、あの感動を再現していただいて、本当にありがとうございます。
あの一瞬から、日常に戻った今も、幸せ感が続いています。
自然のすごさ、その素晴らしさを記録してくださる中垣さんの、今後のご活躍を
心から応援していきたいです。
投稿者:fukushima 2009.08.22
こんばんは、息子と一緒にツアーに参加していた者です。
皆既日食は肉眼のみで観察して、写真は撮っていなかったので
あの時、あの場所で見られた皆既日食を記録として残していただいてありがとうございます。
私も皆既日食の継続時間がどのくらいだったのか、見ていた瞬間は夢中になっていたので
よくわからなかったのですが、デジカメをビデオモードで水平線の方向に流して撮影していたものの
父と子の実況音声?から時間経過がある程度わかりましたので御報告します。
10時51分(望遠レンズがついたカメラの三脚をかかえた中垣さんが画面を横切るのが見える)
52分02秒 子:ねえ、暗くなってない?(あたりが暗くなっている様子)
53分26秒 父:あそこに細いの見える
53分50秒 子:あー雲に隠れる
54分30秒 子:ねー見えるの?
54分40秒 子:すごい暗い(あたりが暗くなった様子)
54分53秒 (髪をなびかせる強い風が吹く:皆既日食時にあるといわれている突風か?)
55分05秒 父:まだ細く見える(中垣さんが撮られた細い太陽の写真はこのころかと思われます)
55分50秒 子:だめか(見えていない)
56分00秒 子:なくなるー(また見えたものがなくなりそうになった?)
56分07秒 子:あ!丸い!(子の方が先に皆既状態を確認した瞬間です)
56分10秒 父:ほんとだ。うっすら丸く見える。皆既だ!
56分30秒 子:まるーい。(この間、雲にかくされて見えたり見えなかったりしていたと思われます。)
56分58秒 父:コロナが見えるー!すごいぞー!
56分59秒 子:なにこれー!
57分00秒 父:やったー!皆既だー!コロナが見えるー!赤いプロミネンスも見えるぞー!
(周囲から歓声と拍手があがる)
57分25秒 子:すごーい!
57分30秒 父:プロミネンスが見えるぞー!(映像が終了する)
この後、縁がキラリッ!ピカーッ!と輝き、父が”ダイヤモンドリングだー!”と叫んだのですが、
数日前に買ったばかりのデジカメのビデオ連続撮影可能時間を誤解していたため、
撮れると思っていた時間の半分しか撮影できず、皆既終了時間まではわかりませんでした。
それでも少なくても1分30秒間は皆既が継続していたことがわかりました。
それと、赤い縁取り(プロミネンス及び彩層?)も少なくとも30秒間は見えていたようです。
もし、このコメントを御覧になった方で、赤い縁取りが消えて皆既が終わる瞬間までの様子を
覚えている方がいらっしゃいましたら教えてください。
それでは、中垣さん、今後のご活躍を祈っております。
それからツアーでお世話になったみなさん、また26年後?にお会いしましょう。
投稿者:fukushima 2009.12.06
皆既日食ツアーDVDの制作ありがとうございます。
皆既が終わりダイヤモンドリングになる直前も
皆既が始まった時と同じく赤い縁取りが見えていたのですね。
また、ちょうど皆既日食の太陽と反対側の水平線上が
夕焼けのように色づいている様子もよくわかりました。
この目でその様子を見たかったのですが、
あの時は周囲を見回す余裕がありませんでした。
写真家、それから皆既日食観測のベテランと
一緒のツアーでよかったと
あらためて感じております。