2010.03.04
アラスカ北極圏 サバイバルツアー 2010 冬   <後編>

BACK

ブログトップへ戻る

サバイバルツアー4日目(2月16日)
「アラスカのてっぺんへタッチ」


フェアバンクスを北上し、北極圏へ突入するサバイバルツアー。

はじめの3日間は、毎晩ゴージャスなオーロラに見舞われた。
Rさんにとっては最高の滑り出し、と言うか、むしろ出来過ぎである。

今日は、一気に北極海一歩手前のデッドホースまで行ってみようということになった。
一歩手前というのは、北極海は油田基地になっており、一般人は立ち入ることが不可能なのである。
挑戦するのはいいが、ただし、「ブリザード覚悟」という条件付きである。
私の経験では、天候が安定しているようでも、決まってブリザード(地吹雪)になっている地帯がある。

ブルックス山脈を越えて、北へ北へ向かう。そこはノーススロープと言って、緩やかに北極海に向かってツンドラ地帯を下りていく感じだ。

峠を越えてからは、もはや背の高い木を見つけることが出来ない、見晴らしがいい、広大な大地をひたすら走る。



ブルックス山脈をバックに記念写真。ツンドラでこれほどの晴天に恵まれるのは久し
ぶり。気温もそれほど低くない。



秋でも冬でも、いつも蜃気楼が見られる地帯がある。下側の写真は、向こう側のテーブル状になっている山が蜃気楼である。何とも不思議だ。



ジャコウ牛の群れを発見するが、かなり遠い。ツンドラの雪原を歩くのは、普通のブーツではズボズボ埋まって、かなり歩きにくい。
ある程度歩み寄るが、力尽きて望遠で撮影。皆じっとしている。暇なんだろうなあ。



代わりに美しい被写体を発見。雪原には宝石がちりばめられていた。
ブリザードが作り出す、自然美。ここにいれば一日中でも写真が撮れそうだ。



御幸が差している? 実は皆さんを笑わせるためのショット。

風があって、地面の雪が空気中に舞っている。そんな、ダイヤモンドダストがキラキラしているような時は思いがけず神々しい光景に逢えることがある。
「幻日」、太陽が三つ見えるのだ!



沈みそうでなかなか沈まないのが極北の太陽である。ブルックス山脈はもう見えなくなってしまった。



太陽の光が、空気中の氷の結晶に屈折して光の芸術を生み出す。光の波長によって屈折率が違うので、虹のように見える。

この太陽の魔法をずっと眺めていたいが、目的地デッドホースはまだまだ先である。
ブリザードの心配もあるので、明るいうちに給油をして、早めに撮影場所に落ち着きたいものだ。



デッドホースまであと100km以上はあるが、やはり地吹雪傾向になってきた。
早く北へ進もう。この先に北極海がある。

・・・

結局このあとブリザードに遭い、やっとの思いでデッドホースに到着したころは辺りは暗くなっていた。
アメリカでもっとも値段の高いガソリンを入れる。
1ガロン、5ドル近くもする!(日本と同じくらい高い)
しかしここで入れないわけにもいかず、予備タンクも含めて200ドルも給油することになる。



2007年撮影 デッドホース
看板の距離はKmではなくマイルである。表示に1.6倍を掛けた数字がKmとなる。
高速道路ならまだしも、この「冒険的道路」ではフェアバンクスは途方もなく遠い。

北緯70度、デッドホースは地図で見るとほとんど北極海である。
油田基地の準備をするために存在するが、一般人が住んでいる集落ではない。
すべて油田に関わる人のみが一時〜長期滞在する。女性をほとんど見かけたことがない。まして子供を見かけたのは皆無である。



デッドホースをあとにする。ブリザードをしばらく走るが、やがて収まってきた。
やれやれである。ところで、外で食事を作れるところがあるだろうか?風が強いと火をおこすことは出来ない。

穏やかながらオーロラも見えてきた。
真冬のツンドラでオーロラを見るのも格別である。
しかし、いまここで車を停め、撮影体制に入れる気分でもない。
大地には凹凸も何もない、ただの雪原である。

広すぎる空と大地が360度広がっていた。
そこに一本道が遙か彼方へつながっている。

風があると、戦意を喪失してしまう。
今夜の撮影場所だが、この風の穏やかではないツンドラの雪原上では厳しい。
やはり、一気にブルックスまで戻って撮影場所を探そうかということになった。

私は元気が継続している場合は夜も昼もなく活動することがある。
昨夜は明け方まで撮影、あまり休まずにそのまま長距離運転をしてきた。
ところが、そろそろスイッチが切れそうになって来た。
限界である。このまま運転していると路外へ飛び出しそうなので、ついに運転をRさんに代わってもらう。

助手席はなんて楽なんだろう・・・・
おそらく、あっという間に眠ってしまったのだろう。

・・・

数時間は経ったのか。
気がつくとブルックス山脈に突入していた。

Rさんは黙々と運転していた。


ブルックス山脈の峠「Atigun Pass」を越え、さらに南下する。

一日でブルックスからデッドホースまで行って、そのままリターンしてくると言う強
行軍は運転手二人でなくては難しい。



オーロラも活発になって来た。肉眼でも赤く感じるようなオーロラだ!
眠気も飛んで、気持ちが高揚してきた。
早く撮影場所に落ち着きたい。

睡眠時間数時間で、再びスイッチオンになった。




満天の星空を突っ切るダルトンハイウェイを南下。山の背後からシリウスが青白くき
らめく。




後ろを振り返るとオーロラはどんどん迫ってきた。













いよいよ頭上に迫ってくる。
それにしてもここブルックス山脈は、天頂にオーロラが広がることが普通である。

だからここへ来ることをやめられない。



思わず「ショータイム!」とついつい叫んでしまう。

今夜も当たり日だ!
いったいお祭りは今夜で何日目になるだろうか、一瞬わからなくなる。

まあどうでもいい、私の気持ちはそれどころではなくなっているのだ。

ところが・・・

ここに来て、Rさんはカレー作りをはじめるという。
Rさんはおなかがペコペコなのだろう。当然だ。
考えてみると、しばらく何も食べていないような気がする。
このオーロラ祭りの中で食事の支度が出来るなんて!それはすごい!




自分の真上でカーテンがきらきらきらめく!
辺境の地まで来ているが、この瞬間のためにここまで来ているのだ。




我々は山の谷間にいる。
東西の方向には山があり、そこからわき上がるような、または降ってくるような見事な光景も見られる。
もちろん、天頂付近でも絶え間なくカーテンが揺れている。
右も!左も!上も!

何という贅沢な空間だろうか。かけがえのない時間か。

Rさんはカレー作りのため、車の中で一生懸命タマネギやジャガイモを切っているよう。

オーロラが激しくなって来たら、私がオオカミの鳴き声を出して呼ぶ約束になっている。




来た来た!といった光景。しかしながら、こんな光景はもはや珍しくもなくなり、また長い時間見られた。

Rさんはついに鍋に火を入れたようだ。







ブレークアップ寸前か!?

この夜、結局ブレークアップはなかったが、今まで見たこともないような、素晴らしい舞いを目の当たりに出来たし、非常に貴重な映像を撮影出来た。

いつか皆さんをうっとりさせることが出来ると思う。




このような空の下にいることがどれほど気持ちがいいか、伝えられるだろうか・・・

アラスカビールとRさんが脇目もふらず作ってくれたカレーでおなかいっぱいになった。

幸せな一夜だった。


5日目(2月17日)

私は明け方まで撮影しているので、昼夜完全に逆転までとはいかないが、Rさんとは明らかに活動時間がずれてきた。私の場合、基本的に取材中は夜行性になるのである。

Rさんは日中活動的に「山歩き」をはじめる。
今回なかなか動物には逢えないが、辺りの足跡を見るとかなり大型の得体の知れない?ものもあったようだ。
オオカミの足跡や、もしかしてリンクス(オオヤマネコ)!?と思われるものもあり、ここが日本とは違うなと思わせる。




日中は曇りがちの日々が多かったが、夜になると見事に晴れた。連日である。
偶然なのだろうか?

この日はついに曇ってしまうかと思われた。

が、深夜になってやはり晴れてきた。
星が見えれば、この場所でオーロラを見られない感じがしない。

・・・

油断をしていた。
うとうとしていた。

連日、オーロラ祭りが続いているので、気持ちがゆるんでいたのだ。

あっ、オーロラが来たなあ・・・・と思っているうちに、あっという間に見事な線構造のオーロラが頭上まで迫ってきた。




慌てて、車から飛び降りる。
撮影を開始するが、この夜はオーロラの動きが早かった。










この夜、それほどたくさんのオーロラは来なかった。
少ないけれど、しっかりとおいしいオーロラ、と言った感じだろうか。

しかし、早々に穏やかな星空に戻った。

サバイバルツアー、5日連続で素晴らしいオーロラに見舞われているが、Rさんはもう感覚が麻痺してしまったようだ。
超Super Lucky Manだ。


6日目(2月18日)オオカミ発見!

日中の私たちは、動物を探しながらブルックス山脈の南斜面を行ったり来たりしていた。




この辺でオオカミでもいるのでは?と、なんとなく私がRさんに声をかけ、彼が双眼鏡で覗いた瞬間だった。

「あっ!オオカミだ!!」




車を停め、慌てて私も三脚を立てた。

大きなオオカミがこの氷の上を歩いていたらしいが、すぐに見失ってしまったらしい。
森に姿を消したようだ。

残念。








弱々しいがまたしてもオーロラ登場。

ブルックス山脈はオーロラ天国と言ってもいいだろう。





明け方近く、空全体がぼんやり光っている。
すべてオーロラなのだ。

コントラストのある写真は撮れないが、ややファンタジーに撮影出来た。




空がどんどん明るくなってきたが、まだ頑張って光っている。

「頑張れ!」

肉眼でもうっすらピンク色に見えるのだ。
いまこのオーロラを見ているのは、地球上で間違いなく私一人だけだろう。
そう思うと天頂で頑張っている色っぽいオーロラがかわいくなってきた。
完全に見えなくなるまで、私が見届けてあげよう。

トウヒの森の中、私はゆっくりゆっくり明けてくる空を、仰向けになって眺めていた。
オーロラは、明るくなる空とコントラストがなくなり見えにくくなるが、明らかに私の真上で頑張ってくれている。
そんな見えるか見えないかというオーロラを見届ける時間って、なんて贅沢な瞬間だろうか。
私は疲れ切った体を優しく受け止めてくれる雪のベッドで、いつしか眠ってしまった。

不思議な夢を見た。

・・・

目が覚めたとき、いま自分がどこにいて何をしているのかわからなかった。
ああ、アラスカ北極圏だあ。

さっきまで私の上にいたオーロラも夢だったのだろうか。


すがすがしい朝を迎えることが出来た。

さて、Rさんはそろそろ起きる時間かな。


サバイバルツアーにて、6日連続でオーロラに逢えた。
私はフェアバンクスのJALパックツアーからカウントすると、なんと10日連続である!


サバイバル7日目は曇りのため、惜しくも記録はここで途絶えたが、とても有意義なサバイバルツアーとなった。


8日目(2月20日)いよいよ最終日

初日に陣取った樹氷地帯に戻る。
きっと月明かりがあるので、まったく別の光景を写すことが出来るだろうと・・・

しかし、この日も天候がなかなか優れない。この場所は難しいなあ。

「さとうのごはん」と「梅好み」が余ったので、Rさんはおにぎりを作る。

朝までフェアバンクスに戻る必要があったので、4時くらいまでオーロラを待つが、ついに断念。
おにぎりをおいしくいただきながら、帰途についた。

そろそろ日本が懐かしくなった。

ここアラスカで、たくさんのお土産を天からいただいて、日本へ持って帰る心境である。

・・・

Rさんは写真撮影は初心者だったが、私が「人から借りてでもカメラを持っていった方がいい!」と助言してしまった。
結果的にたくさんのオーロラを撮ることが出来たよう。一生分かな。

では、Rさんが撮影した写真を公開しよう。モデルは私である。




ブレークアップを体験した3日目の氷の上の現場。氷の上で私がチェックしている。




何をしてる?
厳冬のツンドラの雪原でうんこをしているわけではない。必死に撮影をしているのだ。




私がカメラをセットしているところ。あまり寒くなかったので楽でしたね。





これが初心者の撮影か?と疑いたくなるショット。
アラスカ北極圏に行ったことを一生誇りに思ってくれるかもしれない。

8日間かけがえのない時間を一緒に過ごしてくれたRさん、本当にありがとう。


<次期サバイバルツアーのお知らせ>

2010年6月24日〜7月10日 夏のアラスカ撮影の旅
白夜の極北の大地に咲き乱れるワイルドフラワー、野生動物など、夏のアラスカの魅力を撮影して、広範囲にまわる旅です。アンカレジ付近の氷河クルーズ、デナリ国立公園、太陽が沈まないツンドラなど、アラスカにある道路はすべて走破する予定です。白夜のため、オーロラを見ることはできません。

2010年9月 秋のオーロラ
場所はまだ検討中ですが、カナダ・ユーコン州〜〜アラスカ北極圏まで、広範囲にオーロラを求める旅です。寒くないので、日中も極北の大自然を満喫しながら、のんびりと北へ北へ転々とする優雅な旅です。

2011年3月 厳冬のアラスカ北極圏
贅沢にワイズマンの宿に宿泊し基点としながら、中垣お勧めのブルックス山脈の撮影ポイントを巡る、快適ながら、こだわりのオーロラ撮影を重視したツアーです。3週間の期間で3名程度の希望者を受け入れる予定です。


< サバイバルツアーとは>
中垣の個人取材に同行するもので、基本的に宿無し、4WDで気まぐれに旅をするものです。快適性を求められる方には不向き、とにかく昼も夜も自然の中にいたい!人向けです。オーロラの撮影を全面的にサポートするのはもちろんのことです。
現地の空港で合流することもあります。期間や目的地などは相談に応じますので、自由度はあります。定員は通常1名(助手席)ですので、ご希望の方は早めにご連絡下さい。
mysong@aurora-dance.com 中垣まで



COMMENT (4)

投稿者:しずちゃん 2010.03.09

うっとりしました?
中垣さん、Rさん、ありがとうございました!

投稿者:なかがき 2010.03.10

また来て下さいね。

カナダ・ユーコン・ホワイトホースレポートもお楽しみに!
今度はどうかなあ・・・?

中垣哲也

投稿者:Mai 2010.03.10

またまた感動の嵐です。
寒い思いをせずに、すばらしいオーロラを見ることが出来て嬉しいです。
でもきっと、
寒い中でのオーロラは本物でしょうね。
いつかきっと・・・
素敵な写真の数々を有難うございました。

投稿者:Tomo 2010.03.14

中垣さん、ブログで見ただけでもスゴイ写真ですね。
行く度にすてきなオーロラに出会えるなんて、女神が
味方してるとしか思えません。

まだエドモントンにいますが、今月末には帰国の予定です。
新作を見るのを楽しみにしています。
カナダにいながら、オーロラに会いに行けないのは
残念ですが、中垣さんのおかげで、寒い思いをせずに
素晴らしいオーロラを見ることが出来、感謝です。

コメントを投稿

ニックネーム:
メールアドレス:

コメント

ワールドプロジェクト

コミュニケーション

  • 中垣哲也オススメの「オーロラ・スポット」
  • 映像でオーロラを見よう!
  • ミクシィコミュニティで情報発信中!
  • 美しいオーロラと共に地球散歩するブログ

ネットショップ

  • オーロラダンスオリジナルグッズ
  • フォトライブラリー